年下彼氏の恋物語

□第十四話
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「でもタクシーが捉まらないのは大変だね」




「その時は覚悟決めて歩いてくよ」



「近いの?」



「ここからだと20分位かな?」



「え!?そんなに歩くの?」



「まぁ…仕方ないし」



「……」



急に黙り込んだ望サン



俺、変な事言った?



沈黙が俺の心の中で


不安と言う名の気持ちが凄い勢いで広がりだす




ドキドキドキ



目の前にいる望サンに聞こえちゃうかも



「…なら、私がタクシー頼むからウチの店で待ってる?」



「え!!!?」



俺の声は通り一面に響いた



「い、良いの??」



店には絶対に来ないで!って言ってたのに?



神様・仏様・一平様だな☆



望サンは今の俺の状態を見兼ねて言ってくれたのに



俺には‘お招き’に聞こえて思わず顔が緩んでしまう



望サンの後ろを歩けば、すぐに階段を上り始めた




このビル?と思い顔を上げれば



頭上にはデカくてピンク色の看板



‘スナック さくらんぼ‘


真っピンクだ!!



ねぇ望サン、いかがわしい店じゃないよね?



望サンの格好は山吹色のスーツ



てかミニ履いてる!



ミニは俺の前だけって約束したのに!!



少し不貞腐れながら階段を上りきると



5個の小さな看板が扉の上や横に付いている



そこの一番手前にピンク色の看板




その扉に手をあて望サンは



「ココだよ」



そう言って扉を開けた






初めて入る空間



望サンの、もう一つの仕事場



緊張からかドキドキと高鳴る胸を抑え



俺は一歩踏み出した






そこは思ったよりも狭くて暗い




テーブル席が1つ空いていて



そこに一平を寝かせた




あぁ…重かった



一平の向かい側に座り


改めて店の中を見回した




周りに居る客は、自分の親よりも歳を取ってる感じで


明らかに俺は場違いな所にいると実感させられる




望サンはカウンターの中に入り電話してるし



話す相手は居ないし



テーブルに酒がある訳じゃない



手持ち無沙汰で


思わずソワソワしてしまう




帰りたい…けど望サンを見ていたい




二つの気持ちに板挟みな俺は気付かない内に眉間に力を入れてた




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