頂き物
□年賀フリーまさこ
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「小十郎‥まだ起きてるか?」
夜も遅くに、廊下で微かな気配があった。
良く知った気配であり、間違えるはずも無いその気配。
小さく、返事をした。
「起きておりますよ」
今宵は白石城には戻らず、ここで泊まれと言われた。
大晦日や新年に、城主が城にいない等と馬鹿げた話があるものかと説得しようと試みたが「命令」と言う天下の宝刀を掲げられてしまっては出るものも出ない。
正月の朝。
日の出が出るよりも前に戻ればいいと相も変わらず無体な事を言われたが自分はそれを呑まずにはいられないのであった。
命令?
いや、そんなものではない。
結局の所、この年若い主君に甘えられるのは、嬉しくて仕方の無い事なのだ。
相手に漏らしてしまうと益々につけあがる故、口にはしないが。