ヨロズ小説置き場

□☆ボクの理想、キミの願い
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「…ほら、もう辛い想いを背に乗せるんじゃねーですよ。真紅たちだって言ってたじゃないですか。だから蒼星石…無理に自分を追い込まないでほしいですぅ。翠星石が蒼星石を守るですから…。」

私は私なりのアリスゲームをする
真紅はそう言っていた。

姉妹とは戦わず、私生活を楽しむ…。
真紅の意図はボクには分からない。でも…戦わなくていい戦いなら戦わないほうがいいに決まっている。



「あ〜ら…こんなところでまだそんな姉妹愛をしてたのぉ〜?」
その場には今♂ってはいけない姉妹が目の前にいた…。

「『水銀燈…っ!!?』」
ボクは翠星石の前に出て水銀燈に鋏を向ける。

「あ〜ら、片割れの妹はヤル気なのねぇ〜…さぁ、アリスゲームを始めましょう?…っといっても貴女たちは二人一緒じゃなきゃ何も出来なかったわねぇ…まぁそんなこと言っても、勝算がこの水銀燈を前にして有りもしない話だわぁ〜」
『…っ!』
両方の翼を拡げて高い所から勝ち誇る水銀燈。
ボクは殺気の篭った視線を彼女へと向けた。


「そんなことないわ。」
が、その殺気は一瞬にして紛失した。
どこから湧いて出て来たかは知らないが、ボクの隣には真紅、その後方には雛苺と金糸雀が並ぶような形で水銀燈を見ていた。

「私たちは一人一人が誇り高き薔薇乙女のドールズであり、姉妹なのだわ。それを穢すのは幾ら同じ姉妹である貴女でも許されないことなのだわ。」
静かに燃え上がる誇り高き薔薇乙女…真紅。

「あら〜、真紅ぅ〜貴女もいたのねぇ〜…でも、流石に5人係りでなんて卑怯じゃないのぉっ!!?」
殺気だった水銀燈は羽を伸ばして翼を更に大きくする。

「あら、誰も貴女と戦うなんて言ってないわ。」
…途端にさっきまで殺気だっていた空気が静まり返った。

「はぁ?真紅ぅ〜貴女何を言っているのぉ〜?………まさかこの水銀燈にあのミーディアムの家に行ってつまらないままごとの真似事をしろって言うんじゃないでしょうねぇっ!?」
ふざけないで、と言い捨てる。

「誰もそこまでしろなんて言ってないのだわ。…それはとても理想だけれど、それを貴女に強制するつもりはないのだわ。」
…ボクはただ、真紅の言い分を聞いていた。

彼女の理想は心地がよく暖かい。
アリスゲームだけが全てじゃないと言っているかのように思える。
翠星石が言ってた通り姉妹で戦わなくていい道があるのだという希望を感じさせた。


孤独の戦いであるアリスゲーム…。

姉妹仲良く過ごす暖かい生活…。


ボクだって戦わない世界があるならそのほうがいい…、でも絶対って訳じゃない。
だからボクはどちらもと選ばない。真紅が自分のやり方で行くように、ボクは僕の道を進んでいくのみ…それでいいんだよね、翠星石。
少し視線を後ろに向けて彼女を見る。
気持ちが伝わったのか、翠星石は微笑んで頷いてくれた。
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