ヨロズ小説置き場
□嘘はついてない
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白井が何か考え事をしているので、ファミレスに残っていたのが、待ちかねた美琴は口を開いた。
「黒子?ヒマなら一緒にアクセサリーとか買いにいかない?」
「まぁまぁ、お姉さまからのお誘い、この黒子が断るわけがありませんわ!」
そういって再び迫りくる後輩を撃退し、ファミレスを後にした。
―――数分後、アクセサリー屋についてさっそく探し始める美琴だったが、ふと白井を見るとまた何かを考え込んでいた。
「・・・ねぇ、黒子どうかした?」
気になって聞いてみた。
本人はというと、声に反応してこちらを見る。
「お姉さま、実はお願いがありますの」
そういう後輩の目は本気で・・・美琴はゴクリと息をのんで「何?」と返事をする。
「お姉さま!黒子と一緒に先ほどの神社にってくださいまし!!」
さっきまでと180度反応が変わった白井を見て美琴はたじろいだが。
「って、ソレかよ!!」
思わずツッコんでしまう。
「そんなこと言わないでくださいまし!黒子は非科学的なものとわかっていましても、どうしてもお姉さまと二人で・・・もとい、みんなと一緒に行ってみたいんですの!」
そういう白井に美琴はため息をつき、携帯で先ほど初春が教えてくれたサイトへとアクセスする。
軽く内容を読んでいて怪訝な顔で白井を見る。
「黒子・・・さてはこの『カップルで行くと成就する』、ってトコに反応してたんじゃないの?」
「ギクッ」
「「・・・・・・。」」
黒子〜、と満面な笑顔を見せる美琴。
「アンタとはいかないから!」
そんな〜、とうなだれる白井だったが、不意に携帯電話の着信メロディが鳴り響いたことにより、微妙な空気の線が切れた。
「黒子、ケータイ鳴ってるよ?」
「あら?私の携帯?」
自称、サイズが小さすぎて、なくしやすい、ボタン押しづらい、モニタ見にくいの三拍子が揃っているという、全長五センチほどの、口紅のような円状の携帯電話を白井はスカートのポケットの中から取り出した。
失礼しますわ、と美琴に一言断りを入れた白井は電話に出た。
「はい、白井ですのよー。お姉さとのお買い物してたのに邪魔を入れるとは何事ですの?」
白井は少々イラついた感じに電話に受け答えする。
『白井さん、お楽しみのところ悪いんですけど、今から一七七支部に来てもらえませんか?』
はぁ?とあからさまに嫌そうな声を出す白井。
白井の反応からして、相手は初春のようだ。
「何か事件でも起きましたの?」
『いえ・・・それが「私が初春さんに頼んだのよ」』
「その声は・・・固法先輩?」
『えぇ、そうよ。ところで白井さん、あなた報告書の方は確かに終えているようだけど始末書の方が全然片付いてないわよ・・・?』
「ギクッ」
『始末書、一定量越えちゃうと2泊3日の風紀委員特別強化合宿にご招待されるわよ?』
「を、おほほほほ〜!今すぐ支部に向かいますわ、それでは」
そこで白井は電話を切った。
「申し訳ありませんのお姉さま、風紀委員のの仕事で片付いてないのがあったみたいで・・・」
「気にしなくていいわよ〜、笑顔で見送ってやるから。」
「・・・、本気で涙しますわよわたくし。お姉さま、夜は一人で出歩かぬように!」
「アンタは私のママかー!!!」
思わず電撃を飛ばしたが、その時には白井はすでに空間移動で姿を消していた。
・・・しばらくそこで時間をつぶしていた美琴だったが、退屈になってきて場所を移そうと思い、外へ出た。