ヨロズ小説置き場
□嘘はついてない
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12月31日 AM 11:25。
私こと上条当麻は今日も不幸であります・・・。
「とーま!日本にはお正月っていう美味しい食べ物がたくさん食べれる素敵イベントがあるんだってね!?」
こちらに思いきり身を乗り出してきている銀髪碧眼少女『禁書目録』ことインデックス。
彼女は見を一字一句覚える『完全記憶能力』の持ち主であり、一〇万三〇〇〇冊の魔道書を記憶した魔道図書館。
そんな凄い聖職者のくせに己の欲(この場合食欲)の道を進む腹ペコシスターである。
上条はそんな彼女にため息をついた。
・・・簡単な説明書きが終わったところでもう一度だけ言おう。
今日は12月31日である。
上条は堪えられなくなって大きく息を吸って、そして・・・叫んだ。
「『素敵イベントがあるんだってね!?』じゃねーよ!!!正月前に掃除だよ!なんだってこんなに汚いんだー!!」
そういって上条は頭を抱えてうがぁーっ!と盛大に項垂れた。
そう今日は大晦日。
一年の最後の日として心残りがないように心身ともに清潔に・・・と上条は思っていたのだが、部屋の惨状は酷い物だった。
主に菓子類の食べカスなどだが、マンガやプリントまでもがぐちゃぐちゃにコレボレーションしている。
「む、後でちゃんと片付けるもんっ!」
「嘘つけ!そういってテレビの大晦日SP特集に見入って全然しないに決まってる!!」
そういって上条はテレビを指差す。
「そんなことないんだよ!とーまは私のことなんだと思ってんの!?」
睨みつけてくるインデックス。
しかし、喧嘩なんてしていられない。
一刻も早くこの部屋を片付けないとプリント類を踏みつけて滑って菓子ゴミの中へダイブしてしまったりと、色々な面で上条さんの家がダメになってしまう気がする。
それだけは絶対に避けなくては・・・。
「おーい、インデックス。今日は小萌先生んとこで鍋食べる約束してただろ?先に行って準備の手伝いしといてくれないか?」
そう、今日は小萌先生のところで姫神と4人で鍋&年越うどんをする約束をしているのだ。
「とーまは?一緒に行かないの?」
「俺はこの部屋の惨状を片付けてから向うよ」
「だったら私も残「食材選びは重要だよなー!買い出しいったら好きなもの選び放題なのになぁー!!」」
「「・・・・・・」」
思うふちがあるのが、インデックスは玄関へと向かった。
「とーまもすぐにくるんだよ!」
「へいへーい。わかってますよー」
そういってインデックスは外へと出て行った。
「よーし!インデックスは出掛けたから、まずはマンガを本棚に戻して・・・次にプリント・・・」
時間はかかっているものの、着実に片付いている。
しかし、上条の作業する手が止まった。
「不幸だ・・・」
食べカスを掃除するためには掃除機が必要なのだが、隅に置かれている掃除機を見て、上条は思わずつぶやいた。
上条の家の掃除機は先刻、コロッケをあぶっている時につまみ食いをしようとしたインデックスと乱闘が始まり、近くに置いてあった掃除機に油をぶっかけてしまったことから使い物にならなくなっているのだ。
そんまま隅に追いやって放置してたせいで忘れていた。
「(出費は痛いけど…)」
この目に見える、肌に触れる感覚・・・とてもじゃないが不快である。
しかたがない、買にいこう。
こうして上条は掃除機を買いに外へと出て行った。
一方、小萌の家に向かっていたインデックスだが、ふと足を止めた。
「あれ、こもえのおうち行くのって夜のはずだから夕方からじゃないのかな・・・ってかとーま、私のお昼ご飯は・・・っ!?」
一気に顔が青ざめたインデックスは全力で学生寮へ向かった。