無双

□雨が好きな理由
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「何で好きなんですか?鍛練も出来ませんのに」


「確かに、鍛練も何も出来ない」


「でも嫌いじゃないと?」


「あぁ」



矛盾していませんか?っと心の中で思う。


不思議に思うくのいちに対し、幸村は自分は正論を言っているかのような顔をしていた。


くのいちは幸村が何を考えて今までの言葉を言ったのかわからない。


その真意を知るため、くのいちは幸村に「だったら好きな理由は?」っと雨音と同じ声で言った。


すると、幸村は微笑んだ顔ですぐに答えた。



「雨の日は、そなたは何処にも行かぬ」


「へ…?」



驚いて間抜けな声で返事してしまったが、そんなのをおかまいなしに幸村は続ける。



「晴れの日はそなたは一人で何処かに出掛けてしまう。仕事は仕方がないが、そなたが居ないと物足りない。だからあまり好きではない。

だが雨の日は、そなたは私の目の届く場所に居て安心する。何処にも行かず、居るだけで満たされる。だから私は雨は好きだ」


幸村は顔色一つ変えず、くのいちの目を見ながら言うから、見られてる自分の熱が上昇したのが感じられる。


見ている主人は何も思わないのか気になっていると、幸村はくのいちから窓に視線を変えた。



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