無双
□純粋ですから
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尚香を支えるために抱きとめたが、それは自然に抱き合うという形となった。
焦った陸遜は周囲を見回し、周りに誰も居ないことを確認する。
「尚香様!このような所を見られては…!!」
「だって、いつまでもこそこそと付き合うなんて嫌だわ。この際ばらさない?」
「Σそ、それは!!」
「真に受けちゃって。冗談よ。そんなことしたら兄様と父様が黙っていないわ」
その他に黙っていない人もいるのに…と、陸遜は思う。
もし知られたらあの人達のことだろう。陸遜から尚香を離すかもしれない。
何しろ親バカとシスコンだからι
尚香は抱きついた腕をほどき、もとの体勢に戻る。
「それにしても、今日は何かあるのかしら?」
「え…?」
彼女は今日という大事な日を覚えてはいないのか?
尚香は腕を組、悩むような格好して首を傾げる。
「朝起きてみると、部屋の前にどっさりといろんな物を置かれていたのよね」
「(Σ先越された?!)それは今日…」
「差出人もわかんないし、誰に渡すかもわからなかったから、とりあえず持女に配ったわ」
「(嬉しいけど、相手に同情してしまいますね…)」
置いていった人も、せめて宛先は書きましょう。
なんたって、今でも天然さを炸裂している彼女が気付くわけありませんし…
「持女達も『いらない』の一点張りだったのよ。何でなのかしら?」
お菓子とか、装飾ばっかりだったのに、っと続く。
……本気で同情します。
う〜んっと唸りながら考える彼女は可愛かったが、このままでは訳の分からぬまま人から物を貰うかもしれない。
一番に私が渡したいっというのは我儘だろうか?
尚香の話を聞く限り、彼女は誰からの物も受け取っていない。
今なら誰も居ないし、安心して渡せる…
そう決めたようにポケットに手を入れ、尚香にあげる物をそっと握った。
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