無双
□好きの表し方
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「はい、どうぞ」
「ありがとう。外は寒かったから助かるわ」
暖かいお茶を出すと、尚香様は寒かったのか湯飲みを両手で包み、体を温もらせていた。
抱き締めて暖めてあげたい…そんな衝動を抑えるのに私は必死だ。
「ん〜!やっぱり、陸遜が入れたお茶は美味しいわね!」
「そうですか?私はよくわかりませんが…」
「美味しいわよ!陸遜のお茶は甘みがあって、すぐ口に馴染むの。私は気に入ってるわ」
「尚香様に気に入って頂いて嬉しいです」
無邪気に笑う貴女が可愛く、抱き締めるのを抑えているのに、理性までそれにつけ加えることになってしまった。
私の内なる気持ちが分かるわけない尚香様は、今でもいろんな表情を見せてくれる。
「でね、小喬がね」
見てて飽きない表情をずっと見ていて、尚香様の話を所々聞き逃す。
可愛いな…そう思ったその時、
「…で、好きなの!」
「…え?」
いきなり耳に入ってきた言葉。
前の話は聞き流してしまい、何が好きなのかわからないが、今の私には関係ない。
自分の気持ちを袋に入れて紐で結んで溢れでないようにしていた紐が、少し緩んだ感じがした。
その証拠に、今現在、私は尚香様を押し倒している。
「…り…くそ…ん?」
押し倒された本人は、何がおこったかわからない顔をしている。
どんな表情をしても、貴女は可愛いく美しい─…
だから、もっと貴女の表情を見てみたい…
「尚香様は、私のこと好きですか?」
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