無双

□新年
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「こんな寒い中に居たら風邪ひきまっせ」



不意に背から声を掛けられた。


その声の主は、間違えなく先程浮かんだ愛しき人。


思ったら本当に出てきたって思うと、自然と笑みが溢れた。



「何がおかしいんですかい?」


「ただの考え事よ」


「そうですか」



少しの沈黙後、尚香の背中に暖かいものが感じ、次に腕を回された。



「どうしたの?」


「いや、ただ姫さんに風邪ひかれたら、せっかくの一年が台無しになるからねぇ」


「どうゆう意味よ」



少し機嫌を損ねた尚香を見て、凌統は少し微笑んだ。


素直で正直な人だなって思う。


そこに惚れたんだけどなっと、凌統は少しその気持ちを染々と感じていた。



「姫さん」


「なに?」


「愛してますよ」



耳元で言っただけあって、尚香は耳まで真っ赤にさせた。


それを見た凌統はクスクスと笑う。



「ちょっと!何がおかしいのよ?」


「可愛いことしてくれるなって思ってね」


「貴方がいきなり言うからよ」


「いいじゃないですか。素直な気持ちで」



それ以上言い返すことが出来なくなった尚香は、熱を下げるため空を見た。


その時に星の動き気付いた。



「一年が…終わってるわ」


「とゆうことは、新しい一年が始まったんですね」


「公績があんなこと言ってるから終わっちゃったじゃない」


「俺はそんなん気にしてないけどね」


「何で?」



「なぜってそりゃぁ」と言って、凌統は尚香を抱いている腕に自然と力が入った。



「姫さんと二人で年越ししたんだから、俺は気にしませんよ」


「…もう//」



二人は自然と笑みが溢れ、影がそっと重なったのは、月と星しか知らない。




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