無双
□わすれないよ―上ノ巻―
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「だーかーら!アタシは忍ですよ?忍は主人を守る為に戦うんです。だからアタシは、今まで幸村様を守る為に戦っていたのですよ?忍は『影』です。『影』はいっつも自分の後を付いて来る物でしょ。それと同じなんですよ。幸村様」
「それにアタシ……」とくのいちは微笑みがら幸村の顔を覗きこむ。
「幸村様の側に居れて、すごく嬉しい気持ちなんですから━━……」
幸村は一瞬、時が止まったと感じた。
くのいちの顔が少し赤く染まって見えた。そんなくのいちの顔を見ると、自分の鼓動が早くなるのを感じた。
「えへへ、ちょっと恥ずかしかったかも……」
照れたくのいちは直ぐ様背を向けて、そこから逃げるように歩き出そうとした時
「もし…」
勝手に口が開いた。
幸村は慌てて右手で口を抑えたが、くのいちが振り替えって「え?」と問う。
勇気を出せ幸村、と自分を励まして、ゆっくりと右手を下ろして行く。
「もし、二人ともこの戦で生き残ったら……二人で一緒に暮らさないか?」
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