無双
□約束
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しばらくそこには沈黙が続き、お互いが視線を反らしていた。
だが、流石にその沈黙も耐えきれなくなった政宗が、掴んでいたくのいちの手を放して、この場を抜け出そうとした。
「わしは帰る!!//」
「ちょ、待ってよ!!」
「待つ時間なんてないわ!!」
一刻も早く帰りたい政宗を止めるくのいち。
そんなくのいちだけど、自分でもなぜ政宗を止めたのか分からなかった。
「早く帰らせろ!!」
「理由を聞くまで帰さないですから!!」
「また言わせるつもりなのか!?」
「わかってますよ!!」
意味が分からない会話。
くのいちは自分が何が言いたいのか分からなく、言うだけ言っているもんだ。
「貴様は何が言いたいんだ!?」
「今度は!!!」
声を少し張り上げて言うくのいちに、政宗は少し驚いた顔を見せた。
当の本人も自分の声に驚いていた。
「なんだ?;;」
「え?あ、その……」
「は?聞えねぇよ」
ギュっとくのいちは自分の服を掴み、うつむいて精一杯の自分の気持ちを言った。
「今度はアタシが会いに行くから!!!」
そう言ったらそこには穏やかな空気が流れ、政宗が嬉しそうに微笑んだ。
それに連れて、くのいちも笑顔になる。
「約束だぞ?」
「わかってますよ♪」
この時、龍と狐が結ばれる日は近いことを示していた。
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