無双
□約束
1ページ/5ページ
暑い夏が過ぎて、少し冷える秋が来た。
上田城の中はいつもよりも慌ただしく、廊下は走る音しか聞こえない。
「奥州の伊達政宗だ!!幸村を呼べ!!!」
この城の主、信玄は幸村を連れて遠出に出ている時に、奥州から遥々甲斐の上田城まで来た政宗が、床の間に座って待っていた。
「幸村はまだか?」
「幸村様ならお館様と遠出に出てますよ」
「そうか……Σうわぁっ!!!!」
「お、良い反応♪」
気配を消して突然と政宗の背から現れたくのいちに、驚いて座っていた姿勢を崩してしまった。
その反応を見たくのいちは、小悪魔な笑みで政宗を見る。
「幸村様になんか用でもあるの?」
「ち、近くまで来たから寄ったまでだ!!」
「近くまでって;;何しに甲斐まで来たのよ」
明らかに奥州から甲斐は遠い。
政宗は冷や汗を浮かべながら慌てている口調で言うので、何かあるのかとくのいちは考えた。
そう思うと、口端をうっすらと吊り上げた。
.