無双

□約束
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暑い夏が過ぎて、少し冷える秋が来た。


上田城の中はいつもよりも慌ただしく、廊下は走る音しか聞こえない。



「奥州の伊達政宗だ!!幸村を呼べ!!!」



この城の主、信玄は幸村を連れて遠出に出ている時に、奥州から遥々甲斐の上田城まで来た政宗が、床の間に座って待っていた。



「幸村はまだか?」


「幸村様ならお館様と遠出に出てますよ」


「そうか……Σうわぁっ!!!!」


「お、良い反応♪」



気配を消して突然と政宗の背から現れたくのいちに、驚いて座っていた姿勢を崩してしまった。


その反応を見たくのいちは、小悪魔な笑みで政宗を見る。



「幸村様になんか用でもあるの?」


「ち、近くまで来たから寄ったまでだ!!」


「近くまでって;;何しに甲斐まで来たのよ」



明らかに奥州から甲斐は遠い。


政宗は冷や汗を浮かべながら慌てている口調で言うので、何かあるのかとくのいちは考えた。


そう思うと、口端をうっすらと吊り上げた。




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