無双

□叶わぬ願い
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「幸村様」




自分の背から、自分を呼んでいる少女の声が聞こえる。


「なんだ?」


背を向けたまま答える自分が嫌だったが、こうでもしないと自分の気持ちは押さえられない……



彼女とは主従関係だ…







主と忍なんだ……






何度自分に言い聞かしただろうか?






今にでも、彼女を抱き締めたくて自分の物にしたいけれど…








叶わないんだ……







無邪気そうに笑う顔が好きで…






自分を守ってくれる彼女が好きで……








『幸村様―…』









失いたくないんだ―…







くの……そなただけでも生きて欲しいから、私は小田原城に行かしたのだ……










こんな主ですまんな…







「いくぞ」







最後にそなたの顔が見たかった―…










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