たくさんの雪うさぎと独りの黒うさぎ。色が違う黒うさぎは、仲間に入れてもらえない。
『だって真っ黒じゃすぐ見付かってしまうよ。危ないもの』
そう言いながら、雪うさぎたちは黒うさぎを追い払う。
『どうして僕は真っ黒なんだろ? 何か悪いことをしたからかなぁ? 僕が悪いのかなぁ?』
いつから独りになったのか、黒うさぎはもう覚えていない。こんなにも同じカタチのあのうさぎたちは、近づくたびに遠ざかる。
だから黒うさぎは嘘をついた。独りでも平気だって。
『だいじょうぶ、だいじょうぶだいじょうぶ』
雨の日も風の日も雪の日も、その一言だけ繰り返して過ぎていった。