Junk

□エピソードV
4ページ/15ページ



そうだ。僕は人だった。
---------------


 地球は、広い。
 知っていたよ。確かめたことはなかったけれど。

 この世界を、余すところなく知りたいと思う。
 全ての言葉を。
 全ての価値を。
 全ての意味を。
 全ての歴史を。
 全ての想いを。


 光だとか、闇だとか。
 名前をつけたのは人なのだ。
 分類と秩序を求めたのは。
 認めなかったのは。
 争ったのは。
 人でなければ、何だった、と。

 全てはただ、ありてあるのみ。
 その思考さえ、人の視線だ。
 それも、ひどく限定された区域の。
 そうして、人は人の中で生きていく、と。
 刷り込んだのは、誰。


 世界は、狭くなった。
 何度も聞いたよ。実感は何一つないけれど。
 それでもやっぱり、地球は広くて。
 漠然と、わきおこる。
 祈りのような切望。

 


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ