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□ファントムの生け贄
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夜。
人通りの少ない街道の隅で、寝そべるように座っている青年が一人。戦い疲れた男のように生気を失っている。
彼の瞳は赤い。
「まぁ…貴方……もしかして」
たまたま通りがかった中年女性に声を掛けられる。
彼はダルそうに顔を上げた。
「やっぱり……若いのに…。さあ今夜は私の家にお泊まりなさい」
「…有り難うございます」
彼は薄い笑みを向け、大きく立派な剣を杖替わりに、たっぷり時間を掛けて起き上がった。
見た目18歳そこそこの彼は騎士のような武装をしている。やや長髪で端整な顔つきだがどこか、くたびれた印象をうけた。
―瞳の色は
―赤い。
<ファントムの生け贄>